普段は読んだ事のない漫画家の、震災関連コミックエッセイ本を買いました。
絵柄が好みとは180度違うので、ヒット作があることは知っていても、手に取る事はなかったのですが。
宮城県在住の漫画家の女性の被災体験とネットを通じて知った活動の紹介漫画でした。
石巻の某施設の職員の体験を立ち読みした段階で、即レジに持っていった本です。
福島で「屋外に出ては行けない」と言われ赤ん坊を外の散歩へ出さなくなったら、ストレスで赤ちゃんが笑わなくなり、それまで出来ていた事が出来なくなった……という話や、「被災地の子供に遊び場を」という活動をしている人の話や、「トイレを清潔で安全な場所に」と清掃奉仕しているグループの話とかが載っています。
あと新潟で被災者の母子に無料で宿泊させたホテルの話とかも。
撮影で気仙沼に来ていて津波を目撃したお笑い芸人コンビの話も掲載されてました。
何も出来ない、と無力感に苛まれるのは誰しも同じ……だけど、「掴んでいた彼女の手を離してしまった。自分だけ助かってしまった」と己を責めてる男性の描かれたコマを見た弟は、「訓練を受けた自衛隊や消防団員でも助けられない人がいたんだから、一般人が救助できなかったのは仕方ないよ」と断言しました。
うん、でもそうわかっていても、簡単に割り切れないのが人間でしょう。
助けようとして母親を車に乗せた男性は、その直後津波に飲み込まれ、「俺がかあちゃんを死なせてしまった」と悔やんで泣いていました。
生き残ってしまった事に対する罪悪感、目の前で流されていく人を助けられなかった事に対する悔い。
彼らは今後もこの思いを背負って生きていくんだと思ったら、とてつもなく重いです。
そして著者である漫画家自身も、物流が滞り必要な物が買えない生活の中で、夫が買って来たチョコレートを喜んで食べる2人の娘の姿に、「こんな時代に産んでごめんね、ごめんね」と泣き出してしまったという。
必死で気を張って頑張ってきたけれど、精神が限界寸前だったんだなぁと思わされました。子供に慰められて立ち直っていましたが、一度大声で泣く必要があったのでしょう。
しかし、編集部に「今月の原稿出せません」と電話で連絡するあたりがさすが漫画家。
状況が状況だから、出版社の側もわかってはいたと思うけど、でも連絡する。うんうん、仕事をする人間はそうだよねぇ。
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