毎日少しずつ読んで、やっと昨日読み終わりました。
書店の平台にあって、帯に「重版焼きあがりました」の文字が。
このあおり文句に惹かれて手にとり、レジに持っていった本です。
作者は全く知らない人でしたが、短編がそれぞれ繋がった形の連作になっている小説で、面白く読めました。
うん、短編ひとつ読み終わるたびに、ベーカリーに行って焼きたてのパンを買いたくなる、食べたくなる小説です。
ネットで見たら「西洋骨董洋菓子店」と似た雰囲気のお話、と紹介されていました。うん、そんなところもあるなぁ。住宅街にあって、夜から営業するお店だし。
出てくる登場人物も皆それぞれ訳ありだったり。でも深刻な家庭事情を抱えていたり、重い過去を背負っていたりしても、美味しいパンを食べて笑顔になれるお話なんだよねー。ほっこりします。
最初の短編の主人公の母親から捨てられた女子高生には、ぜひとも幸福になってほしいです。
あと母親が出て行ったまま戻らなくても、「帰ってきたときおうちが暗くないように」と灯りをつけて1人で待ち続ける小学生のこだまくんも。
自分もろくに食べてないのに、パン屋で教えられて作ったパンはすべて母親に食べてもらうため持ち帰ってるあたり、けなげです。だけど幼いから、言葉でうまく母親にそれを伝えられない……。
しかし育児放棄で万引き常習犯で発作的に暴力を子供にふるうシングルマザーの母親がどうしようもない悪人かと言うと、決してそんな事はなくて。
子供を愛していて、けれど自分は暴力をふるってしまうし駄目な人間だから、こんな母親ならいない方がいい、1人にしておけば、きっと施設に引き取られる、その方が幸せだと思っていて……。
夜、子供が眠っているのを確かめた上で、「ごめんね、ごめんね」と枕元で泣きながら繰り返したりしてる、誰かの支えが必要な弱い人で。
そういう人達が救われるお話でもあります。
さてお仕事行ってきます。
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