あああああ、入院中に読もうと思っていたのに!
ミィに「あとで貸してね」と言われたら、すぐ貸さなきゃいけない気分になって、大急ぎで読みました。とほほのほ☆
あ、読み応えはありましたよ。ハードカバーのお値段分の価値はあります。認めます。
確かにこれは、少女小説のレーベルで続き出す訳にはいかなかったろうなー、ってな内容です。
病魔に冒され余命幾ばくもない60過ぎの老人が、己をはめようとしている中央宮廷の罠と、そして餌として殺されようとしていた王の婚約者を守って戦うお話。
もう殆ど戦場を舞台にした過去と、現在の状況(策謀と戦闘)の話なので、これは少女小説では書けません。少女小説のレーベルで漫画家の挿絵入れて……では無理でしょう。
ハードカバー・挿絵なしで出版された事に納得です。
他の短編(中編?)も主要な脇役キャラの男性達の過去と現在の物語なので、年齢層は高いです。
1番若い王が32歳でしたっけ?
その年齢だとBLでもない限り少女向けの小説で主役にするのは無理があるなー。
でも間違いなく王が1番幼いです。相手の裾を掴んでべしょべしょ泣くような、自分でいいのか、これでいいのかと迷い続けて後悔ばかりしてます。
自分を誰よりも理解して支えてくれた相手を傍から離したくなくて、王宮という籠に閉じ込めて死ぬまで外に出さなかった……ってのは後悔のネタとしては充分ですが。
しかもそこまで己を犠牲にして尽くしてくれた相手なのに、自分を守ろうとしている側近達ですら正当に評価していない、ってのは頭にくるだろうなと。
つーか、いつでもこの王を本当に理解してくれるのは、妻となった女性を除けば敵側に立っていた人間だけってのが……なぁ。
愛されて守られながら理解されず1人って、ある意味辛いと思います。
そしてびっくりな血の繋がりや過去の罪も明らかになりますよ、この本。
幼くて覚えていられなかったのか、覚えていたくないから封印したのか。
でも、生きていく為には忘れる事が必要だった、ってのはわかります。
あとあるキャラが昔の自分を反省するシーンがあって、ほっとしました。
息子を虐待していた母親が、それでも息子を抱きしめようと(愛そうと)手を伸ばしていたのに、異母弟を守りたい一心で横から奪った件を思い出し、もっと優しくしてやれば良かったと口にするのが。
子供で余裕がなかったんだよね。大人になってようやく、相手の立場や苦悩や悲しみを理解して反省したんだよね。もうその人は殺されているけれど。
母親の手作りのお守りだけが、唯一縋れるものだったって、辛いよねぇ。
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