読み終えなきゃいけないからと、会報用の原稿にとっかからなきゃ駄目にも関わらず、日付が今日に変わってからつい手にとって読み始めてしまいました。図書館から借りたロイド・アリグザンダー著の『ウェストマーク戦記1巻王国の独裁者』を。
いやー、この作者のユーモアファンタジーは大好きなんですよ。今は遥か遠い昔に読んだ『人間になりたがった猫』とか『木の中の魔法使い』とか。
今回借りた三部作のこの小説は、ちょっとタイプが違うみたいで、なかなか考えさせられるシーンや台詞がありましたが。
善良でありたいと願う事、人を傷つけたくないと思う事は普通良い事ですよね。でも主人公が遭遇した場面は、倒れている仲間のAを助ける為には攻撃しようとしている見知らぬBをどうにかしなければいけないという状況で。
自分は銃を手に持っている。これでBを撃てば傷つき倒れているAは死なずに済むかもしれない。でもその為には人を傷つける事なんか絶対にしない、という己の誓いを捨てて相手を倒さなければならず、けれどそれをしなければ仲間のAは確実に殺される……。
結局主人公は銃を発砲する事が出来ず、その事を悔やみ続けるのです。Bは仲間のリーダーの手で殺され、助けられたAは元王の専属医師だった医者に診てもらったおかげで、かろうじて命を取り留めるのですが。
あー……駄目と思いつつ読み終えるまでノンストップでした。この作者がもうこの世にいないって事が残念です。
でも作者が若い頃陸軍の兵士で、第二次世界大戦では実際に戦闘に参加していたのだという事実はこれ読むとよーくわかりました。きっとこの主人公のように悩んだんだろうなぁと。何が正しいのか、どうする事が本当に良い事になるのか、親代わりだった雇い主を無実の罪で殺された主人公の魂の遍歴は続きそうです。