……という出来事がありましたーっ……。
朝、飼い猫クークーの鳴き声で目が覚めたんです。で、「あー……ご飯かなお水かな、トイレも綺麗にしろって事かなー」と覚め切らない状態でフラフラと起き上がり、ベッドからおりて行動したんですが……。
その際うっかり、机の上に置いておいた眼鏡を掛け忘れました。
ちなみに私の視力は、眼鏡を掛けない状態だと、正面に立つ人間の髪の色や肌の色がわかる程度で、目鼻立ちはぼやけてます。と言うか、のっぺらぼうにしか見えてません。輪郭すらわからないので。
それでも毎日暮らしている自室では、その程度の視力であっても、どこに何があるかはわかっているので、問題なく作業できるはずだったんですが……。
「みゃあん」とクークーが突然、訴えるように鳴きました。ちょっと、困るんだけどぉ……といったニュアンスの声で。はて、と思ってクークーを見ても、なにしろろくに見えない目なので表情とかは判別できません。
その時、ふと奇妙な感触がスリッパ履いた足の下にある事に気づきました。もしやもしやと屈んで確認すると……。
スリッパの下から、ニャンコの尻尾の先が出てました。そう、私は知らずにクークーの尻尾を踏んでいたのです。……うっそーっ!
あのさ、普通猫って、人間に尻尾踏まれたら、それが飼い主であろうと「ふぎゃーっ!」と怒りの雄たけびあげない? 威嚇するような唸り声出すもんじゃない?
だのにクークーが私に向けた声は「みゃあん」
ちょっと困るよ、と言いたげな、困惑した様子の声で……。怒りや痛みを訴える声ではなかったのです。
ううう、なんでこうなのかな。私以外の家族には凶暴なくせにこれって。こちとら見えてないんだから、引っかくなり噛み付くなりしてどかせれば良かったのにーっ……ってな気分です。
そういやもうじき5歳(あと数日で誕生日だから)なクークーは、人間で言えば40歳ぐらいなんですよね。それにしても……尻尾踏まれたら怒っていいと思う。あんな困った声で鳴くんじゃなくて。
ああ、朝から猫の可愛さとけなげさにノックアウトされました。なんて良い子なんだ、クークー。その割に弟に対してはケダモノだけど。抱っこする度流血の惨事になるってそりゃどーよ?
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